増田で妙にそれが面白いという投稿を見た。はてなろう嫌いの増田を持ってして複数件言わせる程のそのアニメとはなにか?と、興味を持つでもなく数日が過ぎ。
ベッドで横になりながらリメイク版狼と香辛料を見終わってあーおもろかったねとなっている時。それは気だるい日曜の午後だった。気だるいのは先週からの風邪が妙に影響しているからだった。とにかく、起きたくなかった。
で、パリィが目に入った。三文芝居だったらすぐ切ろうと思いつつ見ると、初っ端から主人公と思しき男が溝を掃除している。どぶさらいかよ。ちょっとシビレた。この話、ちょっとヘン・・・!
逆勘違いがどうのこうのとタイトルにあったが逆勘違いとやらをするには自分が弱いと思ってなければならないだろう。主人公は今度は土木作業…というか土運びとやらをやっている。これほんとになろう系なん?と思った矢先、女子の声で助けに向かうとかわいい子とミノタウロスというコテコテのなろうテンプレが出てくる。落差でちょっと笑った。
この作品は終始これである。巷で共有されるなろうテンプレをハズしたような要素を叩きつけたかと思えば、グデンとなろうテンプレで話を進めるような気持ち悪さがある。
言っておくが、この気持ち悪さは良いことだ。独創性と言って良い。認知的不協和。つまらんはずのなろうテンプレで話とコメディを進めていく様は、見ていてどう料理するのかと気になるほどであった。
コメディのセンスも悪くなかった。お約束的な勘違いすれ違いは王道だが笑わせてくれる。リーンの家(王城)を見てでかい家だなあとか、ゴツい鎧の戦士イネスを見てメイドさんかなという無知描写の徹底も新鮮だった。そして真実を知る機会も与えられない。主人公ノールは最後まで付き合っている相手が王家であると気づいていなさそうなのも全体として滑稽さを加える。
まあ悪役の雑描写とか、ケチをつけようと思えば付けられるが、むしろそこは割り切っていると受け取るべきなのだろう。
テンプレに拘泥してか中だるみを感じる部分もあったが(ロロのお涙ちょうだいとか)とはいえ続きが気になるという、次はどんなバカで話を展開させるんだという面白さがあった。
スキルがどうのこうのという、どぶさらいや土木作業という地に足のついた最初の描写から浮いた設定も、最初は胡乱に感じたが、終わってみると必要だったと感じる。普通に考えて十何年も剣を振っていれば並の人間よりは強くなっていそうだが、そこの創意工夫しろよ剣を振れよのツッコミを「スキルがないから」で片付けることができる。自分から攻撃できないという縛りを加えて話を進めるための要素となっている。
それにしてもなんかアンバランスさはあるなと思う。面白さと同じぐらい、傷が見つかる。
- 教習所で弓教えてる人が可愛いとおもった。今調べたら子持ちだったわ。いいね。
- ↑獣耳をほぼ無条件に加点してしまう癖はなんとかならんか、自分
アニメ時点では終わってもノールは何も望まず(本人は疲れた、だけで済ませている)、ロロの保護だけを求めて一連の事件は終幕する。再び土木作業に従事するノールが何も得なかったかというとそれは異なり、王家と隣国新政府のコネ、それから王女との繋がりという、得難いものをしっかり得ているのであった。本人は気づいてなさそうなというのが滑稽。そういう意味でも変なところのある作品だなと思う。
なろう系というのはテンプレを踏襲しつつここまで発展させることのできるものなのかという驚きはあった。好むわけではないが、やはりサブカルチャーの一角として長年の支持があるジャンルだなと。
点数:60点
友達に勧められた中華屋でチャーハンを食ったらややベタついていて、店のチャーハンらしくはないが不味くもないな、ぐらいの感覚。食い続けられるが、好きではない。独自性というスパイスが強烈に効いているが、足回りが弱いという印象。最近聞いた言葉で言えば、「うわぁ~、好きな人にはたまりませんねぇ~」という感想になる。